詐欺事件と聞くと、つい眉をひそめてしまいがちですが、中にはその大胆さや奇抜さに思わず笑ってしまうようなケースも存在します。
今回は世界中で起きた詐欺事件の中から、特にユニークで話題になった10の奇想天外な手口をピックアップしました。
歴史的な詐欺師から現代のSNSスターまで。
欲望とウソが織りなす事件簿を、ぜひ一緒に覗いてみましょう。
『透明になる薬』詐欺事件
1904年、イギリスの詐欺師だったジョン・キールは「透明になる薬」を発明したと偽り、富裕層や科学者を騙しました。
お値段は1瓶50ポンド…現在の役100万円の強気価格。
「飲むと一時的に姿が消える」という主張をしました。
誰がそんな与太話を信じるんだと思うかもしれませんが、驚くべきことに購入した者には当時の著名な科学者や貴族なんかも含まれ、約500瓶を売りさばき、ジョン・キールは数千ポンドを稼ぎました。
1年後にキールは逮捕され、懲役3年を求刑。お金は戻ってこなかったようです。
薬はただの砂糖水でしたが、科学の最前線にいる人々がこんな荒唐無稽な話に引っかかるとは驚きです。
タイムマシン詐欺
自由の女神やブルックリン橋売却事件
20世紀初頭のアメリカで、自由の女神やブルックリン橋などの公共施設を売りまくる詐欺事件がありました。
当然ながら公共施設は個人の所有物ではありません。直ぐ詐欺だと気づきそうなものですが…。
その大胆な詐欺を仕掛けたのが後に伝説的詐欺師と言われるジョージ・C・パーカー。
手始めに1920年代、彼はニューヨークのエンパイア・ステート・ビルディングの「売却」に成功します。
投資家たちにビルディングの所有権を売りつけることで、1人あたり数千ドル(現在価値で数十万)をだまし取りました。
しかも被害者には不動産投資家やビジネスマンも含まれており、複数回にわたって同様の手口で成功。
逮捕されるまで公共施設を売り続けました。
不老不死の薬
1910年代のアメリカで不老不死の薬を売るという詐欺を働いた男もいます。
男の名前はウィリアム・ベイリー。
「飲むだけで若返って病気も治ります」という誘惑で「ラドトール」と名付けた水を売りつけることに成功します。
しかしこの話の悪質なのはここから。
この水がただの水だとか、砂糖水ならまだ良かったものの正体は放射性物質ラジウムを含んだラジウム水。
不老不死を夢見た実業家たちなんかが買いましたが、鉄鋼王のエベン・バイヤーズはこれを真に受け、毎日欠かさずラジウム水を飲み続けて放射能障がいで命を落としてしまいます。
ウィリアムは訴追から逃れましたが、放射能の危険性を広く知らしめることとなりました。
富と権力をもたらす石
「触れるだけで富と権力をもたらします」といった触れ込みで魔法の石を販売した男がいます。
ケニアの詐欺師であるダニエル・キシュワ。
この男は2006年にこの魔法の石を1個あたり約1000万で、総額5億ほども売りさばきました。
結局この魔法の石はただの岩でしたが、キシュワは伝統的な呪術師を装い信頼を得るために儀式を演出していました。
こんな非科学的な話ですが政治家や実業家が飛びついたそうです。
月面不動産会社
アメリカらしいユニークなネタを1つ。
1980年代に月面不動産会社を設立し、月の土地を1エーカー(約4000平方メートル)を約20ドルで売り出すという詐欺を展開した人物もいます。
彼は国際法の抜け穴を突いて、「月の所有権」を主張しました。
この月の土地は元アメリカ大統領のロナルド・レーガンやジョージ・W・ブッシュ、ヒルトンホテルチェーンといった著名人や企業が購入しました。
結局法的には月の所有権は認められませんでしたが、彼は逮捕もされず、今も「月の大使館」を運営しています。
金額も安いですし購入者側もお遊び的な面も含んでいそうですが。
「神の声」「奇跡の癒し」
テレビの伝道師として「奇跡の癒し」を謳い、視聴者から多額の寄付を集めた人がいます。
しかし彼が聞く「神の声」は実は妻が無線で送る情報。
観客の病気を当てて見せて感動を誘っていましたが、1987年にジャーナリストが無線の存在を暴露してしまうことで終焉…。
したかと思いきや、3年後に復活。
再び偽の癒しで寄付を集めて、2020年代まで活動を続けます。
無線の存在を知りながらも信じてしまう人間の弱さなのでしょうか。
偽造ワイン事件
2000年代にワイン愛好家の間で「天才」と呼ばれたワイン製造者のルディ・クルニアワン。
しかしその本性は偽造の達人。
といってもその手法は古いヴィンテージワインのボトルに安いワインを詰め替えただけ。
それを高級オークションで出したところ、たった1回のオークションで数億円を稼ぎたちまちワイン界隈のスターに。
ですが2008年に偽造を疑われてFBIが家に乗り込むことで事件が発覚し逮捕になります。
因みにその時に流れた偽ワインは未だに市場に残ってるそうです。
話す犬
1920年代のイギリスでアーサー・レモンズという男がとんでもないことを言い出しました。
レモンズはシェパード犬の「レディ」を連れて各地を回り「この犬は人間の言葉を話す特別な犬」と主張。
一人辺り数千円ほどの入場料を徴収して、時には数十から数百人も観客が集まりました。
パフォーマンスではレディが「パパ」「ママ」「ハロー」といった簡単な言葉を発し、観客は驚嘆。
レモンズは「レディは特別な訓練で言葉を覚えた」と言い、このショーはロンドンやマンチェスターなどの都市で人気爆発。
1925年には新聞でも取り上げられるほど話題になり、時にはレディのための追加研究費を渡す科学者まで出てくる始末。
しかし1927年のこと、疑惑をもったジャーナリストが調査したところレモンズが腹話術でレディが話してるように偽装していたことが発覚します。
エンタメで楽しんでるのかと思いきや、真相を知った民衆の怒りは爆発。
レモンズは詐欺罪として懲役2年の判決を受けました。
余談ですがレディはその後、普通の家族に引き取られて静かに余生を過ごしました。
ランプの魔人詐欺事件
2010年のこと、にわかには信じられない詐欺事件の全貌が明るみに出ました。
要約すると1000万の魔法のランプから魔人が出現しないことで詐欺だとわかった医師の話。
詳細はこうです。
インド北部のウッタル・プラデーシュ州メーラトに住む医師のラエーク・カーンが女性患者を治療する中で、その息子だと名乗る二人の男性と知り合いました。
その二人がカーン医師に対して「近い将来、ババ(聖者)がここに訪れる」と話し、そのババは魔法のランプから魔人を呼び出せると主張。
この時点で騙すほうも騙すほうですが、信じるほうも…と思いますが話はまだ続きます。
ある日のこと二人の予言通り、カーン医師の前に「アラジン(ババ)」が登場し、ランプをこするとどこからともなく煙が。
そして入口から魔人が家に入ってきたことでカーン医師は「これは本当に違いない」となってしまったようで、約1000万円で魔法のランプを購入してしまいます。
彼らが帰ったあとにカーン医師は魔法のランプをこするも、何も起こらず。
ついに魔人が二人のうちの一人が変装していただけという真実にたどり着きます。
警察に通報して直ぐに二人は逮捕されましたが、なんと二人は同様の手口で他の家族も騙していて数千万ルピーも荒稼ぎしていたことが判明しました。
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